アクターズワークスでは、これまで長年マイズナーシステムを使って俳優の訓練を積み上げてきたが、今年に入って演出家や映画監督に依頼してシーンスタディなどをやっていただき、「より現場に密着した形のレッスン」にトライしてきた。
レッスンに参加してくれた役者さんの中で、「このやり方で芝居をしたい!」という希望は以前から強いものがある。
アクターズワークスは劇団でも舞台制作会社でもないので中々実現が難しいが、ここに来て、演出家や監督の方々のシーンスタディから発展させて「ワークインプログレス」を行う・・・という可能性はあるのではないか!という話が出てきた。
ところで、「ワークインプログレス」ってなんだろう?
最近、たまに耳にするようになったが・・・。
ネットなどで調べると、
『創作の過程を公開すること、という意味。
劇団などで、面白い作品を作るため創作途中のものを試験的に発表し、観客の意見を取り入れながら、作品を練り上げていく手法のこと。』
と書かれていた。
そういえば、若手劇団などで公演の最初の2~3日料金が安かったりするものがあったが、それは公開ゲネとかプレビュー公演ということではないのか?
私もかねてから気にはなっていたところに、今年の3月にアクターズワークスでワークショップを開催してくださった演出家・小川絵梨子さんが、
「アメリカではワークインプログレスという方法があって、お客様と一緒に作品を育てて、機が熟してから劇場で上演ということをやっている。 照明や音響などをできる限り削って、広めのスタジオなどで質のいい「戯曲・演技・演出」を提供してお客様に見ていただきながら作品を育てていく。
日本ではまだ定着していないのが残念だ。
一回公演を打てばそこそこお金がかかる。どこからかの補助金でもない限り、チケッ ト完売でも赤字なのが現状だ。そしてその作品はそれっきりになる。一度公演すればそれで気が済むのか、経済的に続かなくなるのか・・・。それでは作品が円熟していかないのでは・・・。」
と、説明してくださった。
なるほど、そういうことか!
『質のいい「戯曲・演技・演出」を提供してお客様に見ていただきながら作品を育てていく』
なんと素敵なことだろう!
お客様にも、1000円・1500円という低料金で来ていただけるし、私たちも赤字を出さずにお客様に作品を見ていただける!
何故今まで日本でやられてこなかったのだろう???
アクターズワークスでレッスンしてくれた役者さんには、ご存知のとおりマイズナーテクニックという共通の演技感覚・言葉がある。その基礎上に、時間をかけて作品を練り上げる「ワークインプログレス」を行うこと、それを続けることは、必ず俳優や演出家にとって珠玉の時間となるはずだ。
お芝居を見てくれるお客様を少しでも増やしていくことに貢献も出来る。
また、まだまだ日本に定着していない「ワークインプログレス」というものを、一から私たちの手で作り上げることにも意欲をそそられる。
来年に向けて、アクターズワークスにまた新たな目標が出来たようだ!
柚木佑美
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