谷口正晃監督のディレクターズワークショップ 三回目のチェレンジです!

谷口正晃監督のWS終了しました。
谷口監督とは3回めのお付き合いになりました。
アクターズワークスのブログの冒頭に推薦文も頂いています。

今回、私がアクターズワークスでディレクターズワークショップを始めた当初の目的に一定の成果を見ることが出来ました。

全工程が終わった後の打ち上げで

「何か監督の作品がらみでオーディションがございましたら、こちらのメンバーにお声掛けください」
と私がお願いしたことに
「もちろんです。柚木さんに連絡すればいいですか」
というお答えを頂けたこと・・・・!!!!



日本の芸能・演劇界にはちゃんとしたオーディションシステムが無い!
このブログでも何度か書いて来た。
偉いプロデューサーなどが、日本の俳優は下手だ、勉強しない…と言う。ある意味で事実だ。アメリカなどの層の厚さに比べ、悲しいほどだ。国策でエンターテイメントに力を入れる韓国にも追い越されている。
でも私は、言いたい!
正当な雇用機会均等システムがあれば事態は変わる!と。
ちゃんとオーディションをやらず、オトナの事情でばかりキャスティングを行うプロデューサーの人たちにも、日本の芸能界に対する自分たちの責任を痛感して頂きたい!と。

かく言う私も何の力があるわけでもなく、せめて私に出来る事は…と思って今まで演技ワークショップを続けて来た。
この年になると私だって責任者の一人だ。

そう思ってワークショップを受けてくれた人と現場を繋ごうと、ディレクターズワークショップも続けて来た。
もちろん、映画監督のワークショップをたくさんやって、オーディションそのものやオーディション代りの場作りを頑張っている制作会社もたくさんある。
そんな大手と対抗出来るとは思わないが、安価で、受講者一人一人をきちんと監督や演出家に見てもらえ、ひいては評価してもらえる場所にしようと頑張って来た。
その一つの成果が昨日、形になった気がする。

もちろん、たったこれだけのことで何も変わらないかもしれない。
でも、出来る事を粛々と…


今回参加した俳優さんがたも頑張ってくれた。

その経過を時間軸で示してみたい。
一日目
とりあえずキャスティングを発表し通してみる。
ところが・・・もう、ぐずぐず。芝居にも何にもなったものではない。また、上手にセリフを間違えずにしゃべっているが、何の交流も起きておらずどうにもならない。谷口監督の顔に「どうしたものか・・・」という言葉が見える。
今回は、若手、現場経験の浅い役者も多く、また舞台が中心で映像に慣れていない役者がほとんど。
私もかなりたいへんだろうな・・・と思っていたが予想を上回っていた。
監督が個々のノートをおっしゃってくれて、一組づつ2回目に入る。なかなか調整が出来ない。
3回目までやっていく。
役者さんたちがどんどん、迷宮に入る。
監督からの注文に、無意識のうちに表面だけで合わせようとして合わせきれず、内部崩壊が始まっていた。
役者の稽古の「あるある」状態だ。
監督「明日、自主トレなんでしょ。頑張ってみて、明後日お会いしましょう。」
と。
そこで私、「明日、自主トレではありますが、ガッツリやります!」
(笑)
二日目
とりあえず各チーム、一日自分で修正したもので通し。
あまり変わらない。。。。
その時私の感じていたこと。
「引くな!」「自滅するな!」
ディレクターズワークショップはすべからく「オーディション」と思え!だ。
それなのに「私どうしたらいいんでしょう」という濡れた捨て猫のような顔をしてここにいるな!!!
ああ、ついに言ってしまった!
このことすら、演技指導の藩中ではないし、自己責任だと思ってきたのでこれまで口にしたことはなかった。
でも、だんだん私もいい年になってきて、やはり言わなければ・・・いや、言うべきなのだ、という思いになって来た。
そして、リピテションという訓練を使って「交流」・・・これをしつこくやって来た私としては、ただひたすらそれを取り戻してもらう基礎練習をした。
男性チームは、スタート時の「状況を信じる」ことを、センソリーと言われる、頭で考えるのでなくて体に落とし込む方法を試す。
もう別人!
演じている本人たち。特にミュージカルの世界で主役まで張って来た俳優さんが180度別人に!
本人も「不思議!」と狐につままれたような感想を言ってくれた。
そこで私が一言「上野さん、私、去年も同じこと言ったよね。来年同じだったらもうな~んにも言わずにただ笑ってみててやる!」(笑)
女性チームは、4~5人が絡み合う、大変「交流」がむずかしいシーン。
こちらもセンソリーはやったが、それ以上に一度ちゃんと相手の顔を見ながらセリフを相手にかけ、相手を変えようとする目的を重視してセリフを交わしてみる。
たったこれだけのことで、驚くほどセリフが掛け合った。
やはり、基礎錬は嘘をつかないのだ!!!
シーンに力が戻って来た。
三日目
全員、昨日のレベルは見事に落とさずに初回の通し。
それを見た監督も、どんどん乗ってきてくれて細かいノートの嵐!
昨日、50代のオバサンの私が自分の若いころの恥も顧みずガツガツ説教したことを、若手メンバーは本当に頑張ってくれた。何度「うーん、まだまだだね」と言われても、マジ悔しそうで、折れそうな気持が透けて見えても、引かずに最後まで「少しでも前へ」進もうとしてくれた。
だんだん、「あ、よかったんじゃない」という、この時点では一つの完成形のチームが出来てきた。
監督が役者さんたちに「今のはいいと思う。僕はそういう表現の方を望みますね。」と。
最後は、役替えをしたりでトライヤルチームを試し楽しんだ。
それでもちゃんと「交流」は生きていたように思う。
もちろん、個々の課題は残り、それは私たち俳優がずっと求め続けて精進することだと思う。
最後に監督が「今日は僕も演出していて楽しかった。映像はどれだけ編集があるといっても、やはり俳優さんの生き生きしたいい演技、人間の機微を表してくれる演技がないと始まらない。それができれば必ずいい作品になる。それを信じて頑張って欲しい」という言葉をかけてくださって締めくくった。
そして、オーディションがあったらお声がけいただく・・・とい言葉をいただいた。

ディレクターズワークショップを企画して3年目。
やっとこの日が来た・・・という思い。
私がやっていることなど本当に微々たることだが、これからもこう言ってくださる監督、演出家を一人一人増やしていければ、何かが起こせるかもしれない・・・ちょっとだそう思えた。

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